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2011年12月20日 (火)

Meetup社CEO スコット・ハイファマンインタビュー 第1回 ~Meetupのルーツを訪ねて。

Scott Heiferman~Meetupのルーツを訪ねて

 「大変申し訳なかったです」と彼は開口一番、私に言う。2011年12月6日。時計は15時を指している。もともとのアポイントメントは16時だったが、1時間繰り上げることはできるだろうか、と当日の午前中に連絡が入った。「1歳になる娘が、病気にかかってしまったんです。はやく切り上げて、病院に連れていかなくてはならなくなりました。」まったく問題ありません。もともとあなたが多忙なスケジュールの中、時間を割いてくれたことにとても感謝しています。そう答えると、彼は安心したように、笑顔で握手を求めてきた。

 彼の名前は、スコット・ハイファマン(Scott Heiferman)。ニューヨークのブロードウェイに本社を構えるスタートアップ企業「Meetup」(以下、法人としてのMeetupは、Meetup社と表記する)の共同創設者、CEOだ。彼は、2001年にMeetup社を創業し、ネット上でイベントグループを登録できるサービス「Meetup」 (以下、WebサービスとしてのMeetupをMeetup.comと記す) を2002年にスタートした。以降10年間に渡り、「Meetup.com」の運営を続けている。

Scott2
Scott Heiferman(Meetup社共同創業者、CEO)


 「Meetup」
――多くの人が、はじめて耳にする単語であろう。私がその単語を知ったのは、職場であるイベントハウス・東京カルチャーカルチャー で「Facebook Meetup」というイベントが開催されたときのことだ。2010年11月にはじめて開催されたその「Meetup」は、従来のイベントとはちょっと違っていた。オフ会のように参加者を顔見知りに限定せず、チケットを買いさえすれば誰でも参加できる形態をとり、名刺交換(ネットワーキング)に時間を多く割いているのが特徴的だった。興味深かったのは、初対面だった来場者同士が、たった2時間のイベントの間に仲良くなり、彼ら自身のコミュニティを形成していく点だ。

Fbmu
東京カルチャーカルチャーで毎月開催されている「Facebook Meetup」の様子。
止まらない名刺交換が印象的。

(写真提供:東京カルチャーカルチャー)

 そして「Meetup」という言葉のルーツを調べると、1つのサービスに突き当たった。それが「Meetup.com」だ。アメリカでは、「Meetup」と呼ばれるオフラインの集まりが非常に盛んだという話も見聞きした。いったい、「Meetup」とは何なのか。そして、なぜアメリカで多くの人が「Meetup」を開催しているのか。その謎に迫るために、私は、Meetup社のCEOであるスコット・ハイファマン氏に、インタビューを打診した。


人々のつながりが、ベターな社会、文化を生み出すのです。

 Meetup社創設のきっかけは、2001年9月11日の同時多発テロ「9.11」だ。スコット氏は、自身のサービスのことを「9.11 Baby」と表現している。9.11のテロは、ニューヨークに長く住んでいた彼に大きな気付きをもたらした。

 「9.11のテロがおきたとき、僕は近所の人と会話をし始めたんです。それまでは、人々が集まったり、グループをサポートしたり、コミュニティが集まったりするのを見たことがなかった。」


9.11同時多発テロ ⒸMichael Foran, 2001
クリエイティブコモンズライセンスに基づき引用しています。

 スコット氏がMeetup.comの構想中に嘆いていたのは、かつてアメリカの市民社会の形成に大きく役立っていた、地域コミュニティの衰退だった。

 彼は、Meetup社のスタッフ全員に、社会学者のロバート・パットナムが書いた『Bowling Alone(邦題:孤独なボウリング)』という本を配布している。2001年に出版された、ソーシャルキャピタル(社会資本)の観点から、アメリカの人々のコミュニティの衰退と集団行動のコスト増加について詳細に記した本だ。この本は、発刊当時、アメリカ世論から大きな反響を呼んだという。そして、スコット氏はこの本に出会い、衰退したコミュニティを再び活性化するための手段を模索していた。そのほぼ同時期に、9.11のテロに遭遇することになる。結果的にこの事件が大きなトリガーとなり、彼は持っていた事業を売却し、リアルコミュニティを活性化するためのサービス「Meetup.com」を立ち上げた。

Nystreet
Meetup社のオフィスがあるブロードウェイ。
マンハッタンの中央部南寄りにオフィスはある。


 Meetup.comとはどのようなサービスか?
 ユーザーはサイト上で、2つのことができる。1つは、Meetupのグループを見つけて、参加すること。もう1つは、自分でMeetupグループを主催することだ。主催者はグループでMeetupのスケジュールや詳細を登録ユーザーに告知することができる。有料の集まりの場合は、サイト上で会費を徴収することも可能だ。グループを主催するユーザーは、月額12ドル(※6ヵ月払いの場合。3ヵ月払いの場合は15ドル、毎月払いの場合は19ドルとなる)の使用料をMeetup社に支払うが、それ以外のコストはかからない。参加しているだけのユーザーは、無料でサービスを使うことが可能だ。

 スコット氏は、アメリカが直面している問題を自覚し、社会をより良くするために、対面コミュニケーションを促進するためのサービスを始めたという。ではなぜ、Meetupコミュニティの形成が社会がよくなることにつながっていくのだろうか? スコット氏は、以下のように話す。

 「もし人々が家族や友達以外の人々と会話をしなければ、その地域は、住民同士の交流もなくなるし、信頼性を失っていくと考えられます。そして、おそらく最も大事なことは、もし人々が対話をしなくなれば、人々が共同作業をするキャパシティやポテンシャルが生まれてこないだろうということです。」

 スコット氏は、起業の例をあげて、共同作業のポテンシャルについて説明する。例えば、ある会社が新しい仕事に取り掛かることになる。新しいチームが形成される。チームメンバーはお互いに助け合い、プロジェクトをスタートする。そして、チームで動くことにより、より必死にさまざまなことを学ぼうとする。例えば、他の言語を学び、コンピュータープログラミングを学ぶ……その成功例として、彼はアップルコンピューターを挙げた。

 「アップルは1つの例ですが、人々が出会って、お互いがつながりを持つことが生み出す可能性の1つです。そのような出来事の積み重ねで、人々のつながりが、ベターな社会、ベターな文化へとつながっていくのです。」

(第2回に続く)

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