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2012年3月10日 (土)

君野倫子さんインタビュー(第2回)~伝説の市川染五郎さんとのイベント「妄想歌舞伎ナイト」ができるまで。

歌舞伎本の出版、そしてイベントへ…「妄想歌舞伎ナイト」ができるまで。

Kimino02


 「実は私、染五郎さんのファンクラブの会員なんですが、もちろん今でも、そのファンクラブ向けに作られた小冊子とかを見ていて、きっと染五郎さんはものづくりがすごく好きな方に違いないと確信していたんです。」
と君野さんは言う。

 「その直感は間違ってなかった……と初めて打ち合わせでお会いした時に思いました。染五郎さん、私が書い た一冊分の絵コンテをご覧になっておっしゃったんです。【君野さんが作るなら、この企画は、こうした方がいいと思う】と。そのアイディアは、私が書いた企 画書とはまったく視点が違ったんです……けど、そのアドバイスは本当に的確だったんで
す。」

  企画書も絵コンテも最初から作り直しになった。素人だった君野さんのために、染五郎さんはいろいろアイディアを出し、大道具、小道具、裏方スタッフの方々や自身への取材のセッティングや撮影のサポートまでしてくれた。しかも、それだけにはとどまらず、取材の過程で、「ここはこうした方がいい」と、真剣にアドバイスをくれた。

歌舞伎をよくわかってない私が何度もとんちんかんな質問をしたりしたと思うんですが、一度もいらだったり、上から目線で話されたりすることはなかったです。いい本にしようと思ってくださっているのが伝わってきて、最後は校正までしてくださいました。」

 多忙を極める染五郎さんのスケジュールにもあわせ、ゆっくりと本の制作は進行した。最初の歌舞伎本の完成までには、2年近くを要したという。

「印刷があがってきた時、染五郎さんに本をお持ちしたときのことを、今でもよく覚えてます。名古屋の公 演の真っ最中で、できたてホヤホヤの本を楽屋にお持ちしました。他人事ではなく、自分の本のように喜んでくださいました。ご本人だけでなく、関わった裏方 さんたちもとても喜んでくださって。」

  第2弾の出版も決まったが、書籍化の企画は2冊目でいったん終了の流れになった。そこで2010年1月、第2弾が発売になった時、「1冊目はできなかったから、出版記念に何かやりたいね」と銀座の書店でトークショーとサイン会が実現した。「この本は君野さんの本だからね……」と気遣いながら、染五郎さんも来場した人ひとりひとりにサインをしてくれたという。

 君野さんが渡米してから、染五郎さんの舞台を観に行った友人から、劇場の売店で染五郎さんの著書だけではなく、自身のサインをした君野さんと作った本も売られていたという話を聞いたそうだ。

 「染五郎さんは私の本を売ったことについて、何もおっしゃらないんですよ。何も知らなくて。でも本当に嬉 しかったです。2冊の本を丁寧に一緒に作ってくださったのは、若い人たちにもっと歌舞伎を知ってもらいたいと、誰よりも染五郎さんご自身が願っていらっ しゃったからだと思うんです。」
と君野さん。

 そのトークショーとサイン会の数ヵ月後、東京カルチャーカルチャーから、イベントの話が来た。東京カルチャーカルチャーのイベントプロデューサー・テリー植田に「君野さん、初心者にわかる歌舞伎のイベントをやりませんか?」と打診されたとき、君野さんは直感的にこう思った。「染五郎さんと一緒にやると絶対、面白いイベントになる。」

 
「カルチャーカルチャーのみなさんは、染五郎さんがまさか来るとは思ってなかったそうですが、私は染五郎さんと一緒にやった方が、絶対に楽しいってテリーさんに言ったんです。染五郎さんと一緒に、ブログ上で【somelabo】という、染五郎さんの妄想を 形にして発表するというコーナーをやっているんですが、そのイベントをやりませんか? と染五郎さんにお話して。」  

 「一緒に本を作っている時に、ホントにすごい方だなぁと思ってたんです。七代目市川染五郎という歌舞伎役 者としては、もちろんなんですが、頭の回転が速くて、クリエイティブで、発想力と妄想力はとにかく驚かされてばかりで。でも、そういう染五郎さんのユニー クさとか、妄想力とか、あまり知られてない気がして。その魅力を世の中に伝えられたらな……と。最初、私は本を作りたいって思っていたんですが、イベント なら直接的に伝えることができる気がして」

  イベント化を打診する君野さんに、染五郎さんの答えはイエス。早速、打ち合わせの場を持つことになった。しかし奇しくも、イベントの打ち合わせ初日は、君野さんがロサンゼルスに引っ越した直後。

 「それで、私、染五郎さんに、パソコンにSkype(※無料で使えるインターネットテレビ電話サービス) を入れていただいたんです。それで、打ち合わせがはじまる前から、パソコンに私を映してもらって、新橋演舞場の染五郎さんの楽屋まできたテリーさんを、パ ソコン越しに紹介しまして(笑)。イベント1回目も2回目も打ち合わせはSkypeでした。」

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画像提供:東京カルチャーカルチャー

 イベント「市川染五郎の妄想歌舞伎ナイト」は 2010年8月のお盆に開催され、チケットは即完売。有料ネット配信でも100人以上の方がイベントを見守った。染五郎さんもイベントをとても楽しんで、 打ち上げの飲み会は、夜更けまでずっと続いた。市川染五郎さんの「妄想力」を爆発させたこのイベントは大きな反響をファンや関係者を中心に呼び、電子書籍 化までされた。すぐに第2回の開催も決まり、2011年8月のお盆に、続編の「市川染五郎の妄想歌舞伎ナイト 第2章」が開催された。  

 「染五郎さんの新しい一面を皆さんに知ってもらいたいと思ってイベントの提案したんですが、イベントの後、劇場のロビーで染五郎さんのファンの方から『妄 想歌舞伎、ホントに楽しかったです。企画してくださって、ありがとうございます。また、次も楽しみにしています』と声をかけていただいくことが何度かあっ て、すごく嬉しかったです。それと、あのイベントは、出演者やスタッフのみんなが染五郎さんに喜んでもらいたいって、思ってるじゃないですか。当日、染五郎さんをどう喜ばせて、びっくりさせるかに命をかけてるというか……その雰囲気もすごくいいですよね。」

(第3回に続く)

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