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2012年3月31日 (土)

「Kimono*Girl」ライブレポート~Kimono*Girlができるまで。(2011/12/4開催@Culver city, California)

Kimono*Girlができるまで

東京カルチャーカルチャーで市川染五郎さんの出演する歌舞伎イベント「妄想歌舞伎ナイト」を開催した君野倫子さんがオーガナイズする着物ファッションショー「Kimono*Girl」が、ロサンゼルスで開催された。

君野さんはロサンゼルス在住。現地の日本文化の紹介のされ方をみていて「自分だったらこうするのに」という思いが日増しに募っていた。

まずは自分の好きな「着物」を紹介したいと、君野さんは考えた。イベントのイメージを絵コンテに起こし、知人にその話をしたら、「なんでやらないの?やればいいじゃない」と一言、言われたという。

その言葉を受け「ここでイベントをやりたい」と思っていたギャラリー「Royal/T」に持ち込んだところ、即座に担当者に言われたのだ。

「それで、日付はいつにしますか?」

準備に半年は必要かな? と逆算して、半年後の日曜日をおさえた。

「アメリカってそういうところあるんです。」と君野さん。「アイディアがあったら『やればいいじゃん、なんでやらないの?』って言われたり。現場の人が権限を持っているので、『上を通さないと』って言われるようなことがないし。そういうの、アメリカならではだなって、思いますね。」

しかしイベント開催はとんとん拍子で決まったが、アイディア以外はなにもない状況……。

君野さんの、アメリカでのイベント作りは、そこから始まった。

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会場の「Royal/T」。君野さんは、まだいったこともないときから、ここでイベントをやりたいと思っていた。ジャパニーズポップカルチャーへの造詣も深く、日本のアーティストの展示もある。半分はレストランとして開放されていて、店の奥にイベントができるスペースがある。

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20名近くのボランティアが、彼女のイベントのために集まった。「どこからともなく、集まってきたんです。」と彼女は言う。

しかし人集めには苦労しなかったが、イベント設営の進捗を管理する「プロジェクトマネージャー」の人間がいなかった。君野さんが最初は兼ねていたが「7月には既にアップアップの状態でした」という。

「それでね、こういう人がいたらいいのにって、友達に話をしたら、 『いるよ!』って言われて。まさにうってつけの人材をその日のうちに 紹介していただけたんです。今井里美さんといって、ハリウッドで日本映画のイベントを開催した方で。私、紹介してもらった次の日から日本に帰る予定で、『後はよろしく!』ってお仕事を投げて日本に戻りました。」

こうして、ボランティアは、設営期間の間にも、ずっと増え続けたという。

アメリカは、ボランティアがカルチャーとして定着しており、勤め人でも、残業がなくて、時間が空くために、イベントにボランティアとして参加する人が、比較的多い。そして、イベントをオーガナイズしたことある人たちがゆるくつながっていて、お互いに人材を紹介しあう文化もあるのだ。

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「たぶん、イベントの内容に、ボランティアの皆さんは惹かれて集まってきたんだと思います。」と君野さん。

「ロサンゼルスは広くて、コミュニティが分散しているからなのか、カルチャーの匂いのするイベントがあまりないんです。だからかもしれませんが、イベントの内容とかコンセプトとか……KimonoとAmerican Vintageというテーマをおもしろいと言ってくれて。集まる人もクオリティが高くて、みんな、よく動いてくれるんです。プロ意識の高い人たちが集まってくれて。何より楽しんでくれているのが嬉しいですね。」

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着物を着るモデルも、ボランティアを募った。あまりに希望者が殺到し、当初予定していなかったオーディションで選抜された。

彼女たちも、高いプロ意識でイベントに参加している、と君野さんは言う。

まず、遅刻はしない。欠席もしない。拘束時間が長くても文句ひとつ言わない。受け答えがいい。性格がいい。練習が終わっても、自分のパートの練習を居残りでするモデルたちもいる。

もちろん、彼女たちは、無償でイベントに参加している。

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この日のリハーサルでも、モデルのプロ意識の高さをうかがわせるシーンがあった。
リハーサル後、自分たちのパートの最終確認を入念にする2人のモデル。
目は真剣で、少しもおちゃらけた雰囲気がない。

細かいところを気にしない、なるようになる、そういう風土のあるアメリカ西海岸だけに、
この風景は、とても特徴的に見えた。

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ショーのリハーサルの間に、入口の設営も完了していた。「Zine」と呼ばれる小冊子が販売されている。売上が、イベントの収入として入ってくる仕組みだ。

ちなみに、Kimono*Girlのイベントは入場無料。入場料無料にするのは、お店から提示された条件の一つだったという。(お店としては、できるだけ多くの人を集めてほしいと願っている。併設しているレストランの集客増を狙っているのだ。)

しかし当然、お店に会場レンタル料は払う必要があるし、必要経費も賄わなくてはならない。

特に着物の費用が大きい。しかし、着物提供にスポンサーをつけてしまうのは君野さんの本意ではなかった。

「スポンサーをつけてしまうと、私の考えているものとは違うものになってしまう。スポンサーの意向にそってやらないとダメになってしまう。だから、仕方がないなって思ってます。」

それゆえ、他の手段で、経費をまかなうことになる。

Zineのほかにもイベントの収入はある。それが「物販」「スポンサー」だ。

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大手製菓会社の商品が売られるブース。これは、メーカーの現地法人が「物品提供」という形でイベントに協賛しており、売上は全てイベント運営側の利益になる。他にも、大手酒造メーカーなどの協賛があり、ビールを売るブースができていた。

他にも、日本雑貨のお店がイベントスポンサーとなり、会場に出店して物販をしていた。

他にも「ドネーション(寄付)」で資金を募る方法もアメリカではメジャーだ。

アメリカでは、ドネーションの文化が確立していて、気に入った対象に対してはどんどん寄付をしていく文化がある。チップ文化も、その一端と言えよう。

ライブやパフォーマンスの後に「ドネーションプリーズ」とアナウンスすると、多くのオーディエンスが小額ながらお金を出してくれることが多い。もちろん、「Zine」などグッズの購入により、ドネーションにかえることも多い。
 

Kimono*Girlがやってきた。

いよいよ開場。会場は想像以上のお客さんでごった返していた。総計およそ200名弱。立ち見客もあらわれ、当初の想定を大きく上回る集客。

そして、驚くべきことに、日本人は半分以下。多くが、外国人の方だ。

できるだけ外国人の方にきてもらいたい。それは、プロモーションの時点から考えていたという。もちろん、もともと日系カルチャーに理解ある現地の方が運営するギャラリーを会場にしたことによるブランディングも大きかっただろう。

フライヤーは、当初1,000部刷って、あっという間になくなったという。3,000部増刷して、ファッション系のお店やフリーマーケットなどで配布した。ソーシャルメディアも使った。ツイッターやFacebookを活用して、少しずつ認知を増やしていったという。

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現地のメディアも入っていた。その中のひとつは、ロサンゼルスの日本人向けのテレビチャンネル「UTB」で、特集を組んでイベントの内容を放映した。

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いよいよショーがスタート。歌あり、踊りありのエンタメ色の強い内容。映像やBGMは大正~昭和初期のレトロ調をイメージしたもので、そこにシンクロするように、アメリカンビンテージと着物がコラボレートした君野倫子さんの着付けによる衣装が披露される。

白人のモデルさんによる日本語曲の歌が、どきりとさせられる。艶っぽく、また清清しくもある。

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背景のVTRと着付けの世界観が見事にシンクロしている。
ここがロサンゼルスだということも忘れてしまう。

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洋傘と着物のコーディネート。細部にわたるこだわりが衣装にも詰まっている。

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先ほど、リハーサル後に個別練習をしていた2人。このセクションは、洋装の女性と着物の女性がお互いにやりとりし、互いの上着をとりかえっこするという「演技」が見せ場となっていた。言葉は一言も発してないので、身振り手振りの演技が要求されるが、コミカルな演技に観客が見入る結果となった。

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袴に、ベレー帽子と本をあわせる。文化的な色合いのするコーディネート。

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イベントは、Ustreamで全世界に配信された。およそ200名の人が、
ネット経由でイベントを観覧した。

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花を使ったヘアコーディネートとの組み合わせが印象的。何より、白人の方にも和装がフィットしていることに驚く。Kimonoはもはや、日本人のためだけのものではない。

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司会は、本職のラジオDJの方が、ボランティアで参加した。司会の方も、演技に参加する。多数の着物モデルからアプローチされ、奪い合いの的になったり、踊り相手になったり……。

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最後は、モデル全員が登場して、踊りで締める。会場は拍手喝采。わずか30分弱のショーで、既に観客は会場の「世界観」に魅せられていた。

間違いなく、この会場の人全てが「Japanese Kimono」のファンになったに違いない。日本のカルチャーが、アメリカに受けいられた瞬間だったように思う。

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終了後、拍手で熱演したモデル達を迎える君野さん。

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撮影で群がるお客さんたちに、深々と一礼。ただひたすらに、感謝の気持ちを述べていた。

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「アメリカでは私なにもしてなくて、初めてやる大きなイベントなので、こういうことできる機会をもらえただけでありがたいって思ってるんです。なんでやるの? って聞かれると困ってしまう。やりたいからやるんです、他に何があるんですか?」
と君野さん。

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「だけど、これがうまくいったら、日本にイベントを逆輸入したいです。『Kimono*Girl』をカルチャーカルチャーでできませんか?」

君野さんの目は、早くも未来に向いていた。日本のカルチャーカルチャーではじまった君野さんのイベントキャリアは、アメリカで更に大きく花開こうとしている。

(執筆、撮影 河原あず/東京カルチャーカルチャー

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